いののすけのブログ

いろいろ語りたい一人の人間のブログ

今年の振り返りその2(本・マンガ・アニメ編)

 今年の振り返り記事その2です。今回は今年読んだ本やマンガ、視聴したアニメで印象に残ったものをまとめていきます。(ネタバレを含みます)

 

〇『スマホ時代の哲学ー失われた孤独をめぐる冒険』(谷川嘉浩著、2022年、ディスカバー・トゥエンティワン)

 哲学者・谷川嘉浩さんの著書。タイトルが気になって何となく買ってみたのですが、自分に刺さる内容も多く印象に残りました。自分は常に何かしてなきゃいけないみたいな強迫観念が強くあり、それに悩んでもいたのですが、その感覚に釘を刺されたような感じがしました。またネガティヴ・ケイパビリティという概念も初めて知ったのですが、自分の生き方に一石を投じる概念でした。ネガティヴ・ケイパビリティは簡単に言うと「結論づけず、モヤモヤした状態で留めておく能力」(p.187)のことなのですが、この力がなぜ大事か等が書かれており、その論考が自分にとって考えさせられるものでした。現状ネガティヴ・ケイパビリティは自分の中でひとつのキーワードとなっており、この後読んだ谷川さんと朱喜哲さん、杉谷和哉さんの共著『ネガティヴ・ケイパビリティで生きるー答えを急がず立ち止まる力』(2023年、さくら舎)も含めて、考え続けたいと思っております。

 

〇『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』(東畑開人著、2022年、新潮社)

 臨床心理士・東畑開人さんの著書。人生を夜の航海になぞらえ、その中でどう進んでいけばいいかをカウンセリングのような調子で語ってくれる本です。この本はさまざまな補助線を引きながらこころの問題について語っており、最後に幸福に関して語っています。この本の姿勢は断言することはあまりなく、むしろ複雑さを大事にしており、前述した谷川さんの著書とあわせて、シンプルにすることなく複雑さを抱えていくことについて考えさせられる本でした。読み返したりしながらこの本のテーマについても考えていきたいと思っています。

 

〇『GUNSLINGER GIRL』(相田裕作、メディアワークス、全15巻)

 『GUNSLINGER GIRL』は電撃大王で2002年から2012年に連載された作品で、イタリアを舞台に身体を改造された義体の少女たちが所属する社会福祉公社とテロリストたちの戦いを描いた物語です。それぞれの義体には担当官がついており共に戦うのですが、義体と担当官それぞれの心情や物語や互いの関係性、周囲のことも含めて丹念に描かれており、切なさや苦しさで感情がぐちゃぐちゃになっておりました。なかでもヘンリエッタとジョゼの最期の場面は胸を打ちました。記憶を失っていったヘンリエッタですが、最後の場面でジョゼとの今までを思い出し、最期は互いを思い合って互いの目を撃って死んでいったふたりの場面には、胸が苦しくなりました。読むとかなり感情が苦しくなるので、すぐには読み返せそうにはないのですが、いつかまた読み返したいと思っております。

 

〇『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』(佐伯さん著、はねことイラスト、GA文庫、アニメ:project No.9

 2023年冬にアニメ化された本作品。ラブコメ好きな私にとても刺さる作品でした。ラブコメにおいて秘密の共有というのは大事な要素になると考えているのですが、本作品では隣同士でご飯を作ってもらうという関係があり、その秘密の関係の中でお互いが大切になっていくという過程が最高でした。学校では天使様と呼ばれ、堅い鎧をまとって自分を守っているような真昼が、周の前では素を出して甘えるようなしぐさを見せ、にもかかわらず明らかに特別な存在だと思われているのに関係を進展させられない周という、その二人の関係のじれったさがもうたまらなく好きな作品でした。原作はアニメと同じ4巻まで読んだのですが、来年以降続きを楽しみたいと思います。

 

〇『久保さんは僕を許さない』(雪森寧々作、ヤングジャンプコミックス、アニメ:PINE JAM)

 2023年冬にアニメ化し、夏に全話が放映された本作品。この作品もラブコメ好きな私にとても刺さる作品でした。普段人に見つけてもらえない白石くんが久保さんには見つかっていろいろ構われるという箇所がまさしく秘密の共有であり、たまりませんでした。また久保さんが恋心を自覚しておらず、関係が特に進展しないじれったさも含めて最高の作品でした。今年は二作品も素晴らしいラブコメに出会えていい年でした。

 

 以上本・マンガ・アニメの振り返りでした。来年もいろいろ読んだり観たりしながら、素晴らしい作品に出会えたらと思っています。