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百合作品探究その2~Quro『恋する小惑星』

 読んだ百合作品の感想を書いていくシリーズ、今回は『恋する小惑星』です。(以下、ネタバレを含みます)

 

 『恋する小惑星(アステロイド)』は2017年よりまんがタイムきららキャラットで連載されている、Quro先生の作品です。2020年には動画工房制作でアニメ化もしています。地学部を舞台にそこで活動している部員たちの日常を描いた作品となっています。この作品は百合と地学という観点から魅力があるので、以下順を追って述べていきたいと思います。

 まずは百合の魅力から。この作品に登場するキャラクターがみな魅力的で、また百合を感じる関係性もとても魅力を感じています。まずは何と言っても主人公のみらとあおでしょう。二人は幼いころに参加したキャンプで出会い、小惑星を探す約束をします。その後高校の地学部で再会するのですが、あおのことを男子だと思っていたみらがびっくりするというところから物語が始まります。この設定がもうたまりません。さらに天真爛漫なみらと物静かなあおの対比もよいです。またみらがあおを男子だと思い込んでみらとあおを題材にした少女漫画を描いていたというエピソードや、同居が始まった際に距離が近いみらにドキドキするあおなど、エピソードも魅力的です。書き出すときりがないのですが、このただの友情を超えた恋にも近いような関係性がとても百合としての魅力を感じる部分で、とても惹かれる部分です。以上は主人公について述べましたが、ほかにも桜先輩とイノ先輩、鈴とみさ姉など魅力的な関係性があります。個人的に好きなキャラはイノ先輩なのですが、百合という点でいうとすずを外すことはできません。女子が好きで時に暴走したりもするのですが、実際はみさ姉が好きで告白してフラれるも、まだ可能性はゼロではないと信じて思い続ける一途さなど多様な内面を包含しており、かつ百合としての魅力を引き立てているキャラクターです。特に5巻に収録された56話「ハッピーバレンタイン2」はすずの一途さを感じ取れるエピソードとなっています。こういった百合の魅力を包含しており、そこがこの作品の魅力です。そのため百合作品として取り上げました。

 次に地学の魅力です。地学部が舞台となっているため、当然地学の話題もたくさん出てきます。自分は高校以降地学には全くといっていいほど触れていなかったのですが、それでもいろいろと出てくる地学の話題に心惹かれました。また地学と関連して魅力に感じた言葉が2つありました。2巻の84ページに出てくる「ただの光る点…だけど 線で結べば星座にー 遠くを見ればタイムマシンに…」や3巻99ページの『皆それぞれ好きなものや得意なもの その人の「世界」を持ってる ひとりでいたら世界はひとつだけど それがもしたくさんつながったら 可能性がどんどん広がって… 大きくて未知数でー 宇宙みたい』です。そういったところから地学という分野にロマンを感じ、地学の世界を深めてみたくなりました。(実際高校の教科書を購入しました)地学に関しては完全なビギナーですが、少しでも地学のロマンに触れられればと思っています。

 

 『恋する小惑星』は百合と地学の魅力にあふれた素晴らしい作品でした。単行本は現在5巻まで出ていてみらとあおが3年生になるところまでとなっていますが、今後も楽しみな作品です。

 次回はまにお『きたない君がいちばんかわいい』の予定です。