いののすけのブログ

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将棋語りその2(テーマ:棋譜並べ)

 前回のアップから時間が空いてしまいましたが、久しぶりに書こうと思います。テーマは棋譜並べです。

 自分が将棋をどのように楽しんでいるかというと、一番は棋譜並べという気がします。とにかくプロの将棋を鑑賞するのが大好きで、その方法として棋譜並べは一番という感じがあるからです。最近は中継も発達してタイトル戦とかをリアルタイムで映像付きで楽しめたりしますし、NHK杯戦をじっくり見るのも好きなのですが、やっぱり今でも棋譜並べは楽しいと思います。なので今回は棋譜並べにハマったきっかけと自分が思う魅力を語ってみようと思います。

 

 まずはきっかけから。中学に入ってから本格的に将棋をやるようになって、その頃から棋譜並べはしていました。家が日経新聞を購読しているので、そこに載っていた王座戦棋譜を並べていました。ほかのタイトル戦もこの頃からインターネット中継が始まり、棋譜を入手しやすくなったため、並べていました。そういった環境の中で自分が本格的に棋譜並べにハマるきっかけとなるタイトル戦がありました。それは第21期竜王戦七番勝負です。

 このシリーズは渡辺明竜王羽生善治名人が戦った勝負で竜王と名人の対決、しかも勝ったほうが初代永世竜王になり、羽生名人に至っては永世七冠がかかるまさに大一番でした。結果は渡辺竜王が史上初の3連敗からの4連勝で永世竜王となるという劇的な結末を迎えました。私が棋譜並べにハマったきっかけはこの七番勝負を観戦記とともに棋譜を並べたことにあります。

 当時母親が新聞の懸賞でこの七番勝負の観戦記をまとめた本を当てて、私にくれました。そして読んで棋譜を並べたところ、トッププロのすごさを感じ取り、大いに感動しました。特に印象に残ったのが第1局、第4局、第7局です。

 第1局はパリで行われた対局で羽生名人の一手損角換わりから渡辺竜王穴熊、羽生名人は右玉に組みました。そして中盤の入り口で渡辺竜王が駒得しつつ、敵陣に竜を作ります。玉も堅いため渡辺竜王が有利とみられましたが、実際にはそのあとの後続手がなかなかなく、じっと駒損を取り戻しに行った羽生名人が優位を築き、そのまま押し切りました。この将棋は羽生名人の柔軟な思考がとても印象に残りました。

 第4局は相掛かりから羽生名人が優位を築くのですが、最後に羽生名人が誤り、最後は打ち歩詰めの筋で逃れて渡辺竜王が勝ちました。この将棋は紙一重で勝負が決まったところが印象に残りました。

 そして第7局は渡辺竜王が矢倉5三銀右急戦から新手を出し、それに羽生名人が強く応じてねじりあいとなります。均衡のとれた押し引きが続く中で最後羽生名人が飛車で駒を取る二択を誤り、渡辺竜王が勝ちとなります。この将棋はそのねじりあいが強く印象に残りました。

 この七番勝負は全体として好局が多く、密度の高いものでした。これらの将棋からプロのすごさを感じ取り心を揺さぶられ、その後いろいろな将棋を並べるようになりました。

 図書館で名人戦は第38期以降、竜王戦は第1期から七番勝負の観戦記をまとめた本を順に図書館で借りて読み、将棋世界も買うようになりました。その中で例えば藤井猛九段の四間飛車羽生善治九段と森内俊之九段の二人の永世名人による名人戦七番勝負での数々の激闘、中原誠十六世名人の相掛かり、第40期名人戦の中原・加藤の矢倉十番勝負のような数々の将棋を並べ、魅了され、どんどん棋譜並べにハマっていきました。そしてそれが現在まで続くといった感じになっています。

 では棋譜並べの魅力を改めて言葉にしてみると、やはり自分で指し手を再現した時に感動が体に伝わってくること、ということになるでしょうか。例えば歴史に残る妙手が出た将棋でその妙手を指すと指がしなりますし、超手数のねじりあいになった将棋を並べているとその熱気が棋譜から伝わってきますし、また寄せがきれいに決まった将棋などはその組み立ての緻密さに感動します。とにかく棋譜を並べているとプロのすごさを肌で感じることができ、棋譜並べをするごとにどんどんのめりこんでいくという感じです。

 

 最近は「平成将棋名局百番」を読んで並べています。まだ22局しか並べていないのですが、それでも68歳の大山康晴十五世名人が第50期A級順位戦谷川浩司竜王を受けつぶした将棋や、第44回NHK杯決勝で中原誠永世十段米長邦雄前名人がぶつかった対局など印象に残る将棋が多いです。まだ並べたい将棋はたくさんありますし、これからも感動する将棋はたくさん出てくると思うので、毎日少しずつでも棋譜並べを続けていきたいと思っています。